熊野古道、小辺路、最高のトレイル!
2008年 03月 31日
熊野古道、小辺路を走ってきた。
昨年より続いている、走ってみたいトレイルの最後のコース。
距離は70キロ以上あり、紀伊半島の山奥のため、日帰りはとても無理である。
小辺路の存在は以前より知っていたが、
未知のコースであり一人で行くのは無謀すぎると半分あきらめていた。
しかし、トレイルランを愛好する人のブログによると、
世界遺産登録により道標等が整備されて、コースアウトの心配はなさそうとのこと。
山道を50キロ以上走れる体力と天候が味方すれば、クリアできるのではと、
熊野古道、小辺路チャレンジが現実のものとなった。
そして、学校も休みだし、家族を十津川温泉、熊野本宮大社旅行に誘う。
当日は、私が高野山から十津川温泉を目指して走り、
家族は車で十津川温泉へ、現地に夕方合流することとなった。
自宅から高野山は遠く、始発を利用しても高野山着が9時半頃となる。
9時半スタートは、初日のコースが50キロ以上の距離があり時間的にとても苦しい。
そこで、弟が和泉市に住んでいるので、好意に甘えて泊めてもらうことに。
(助かりました、どうもありがとう!)
そこから5時初の始発で高野山に向うが、高野山に到着しスタートできたのは7時半頃。
天候のほうは、雲は多いが雨の気配はなく、一安心。
高野山の朝はまだまだ寒く、手袋をはめウインドブレーカーを着たまま走り始める。
いよいよ、熊野本宮大社までの70キロ以上のトレイルランの始まりだ。
今日のコースが今までのトレイルコースと違うのは、
コース途中のバス等の公共機関が無いに等しく、
もし捻挫などのアクシデントがあれば、とても大変なこととなる。
また、コンビニや売店も宿泊地の十津川温泉までなさそうで、
行動食も途中調達という安易な考えは通用しない。
とにかく、高野山から一歩、熊野古道に入れば、
十津川温泉まではなんとしてでもたどり着かなくてはならない。
天候は良さそうなので、怪我などのアクシデントを起こさぬよう、
慎重に行動することを肝に銘じた。
高野山の朝の清々しい雰囲気の中を、最初の峠である薄峠を目指す。
薄峠まで林道のような整備された道を走り、8時前に到着した。
体も温まってきて、ウインドブレーカーの上下を脱いで、身軽な格好になる。
薄峠から大滝の集落までの下り、走りやすい快適な山道で写真を撮りまくる。
高野山から少し離れただけだが、山深く入り込んだ気がする。
大滝の集落を通過して、再び山道を登り返すと、龍神スカイラインに合流する。
しばらくスカイラインの舗装路を走るが、たまにしか車は通過せず気分は悪くない。
スカイラインの左側に山道に導く道標があり、それに従う。
ルート上には、道標が整備されており、まず迷うことはないと思う。
和歌山県観光連盟作成のマップを待っていれば、とても心強い。
道標の位置やコースタイム、距離などのルート情報がうまくまとめられている。
山道でも、わき道に入り込みそうな所は、進入禁止を促すロープが張ってあった。
今回は一度もコースアウトすることなく行動することができた。
スカイラインから分かれて、しばらく見晴らしのいい林道を走る。
この林道で、今日始めてハイカーのおばさん達と出会う。
気持ちよく朝の挨拶を交わしてすれ違う。
朝方に発生していた雲もなくなりつつあり、青空が広がってきた。
スタートから15キロ走っているが、特に気になる箇所はなく、すこぶる快調である。
大股の集落まで、下るのがもったいないほど高度を下げていく。
大股の集落に10時5分に到着。ここまでで16.8キロ。
この集落には民宿があり、ウォーキングの場合、
高野山からはこの大股で1泊するのが小辺路の一般的な歩き方らしい。
大股の集落から、次の峠である伯母子峠を目指す。
集落からの登り始めがとても急な坂道で、疲労してきた体にとても応える。
急坂を登ってある程度すると峠に出るが、そこは目的の伯母子峠ではなく、
手前の桧峠というところ。
ただ、この桧峠からはアップダウンの穏やかないい感じのトレイルとなる。
この伯母子峠までのところで、上のほうでガサガサという物音がするので顔を上げた。
白いおしりの鹿が私と同じ方向にピョコン、ピョコンと飛び跳ねながら移動している。
箕面で鹿を見た時はびっくりしたが、ここでは鹿ぐらい生息していて当然でしょと、
妙に納得してしまった。
伯母子峠に11時26分到着。ここまで23.2キロ。
パワージェルでパワーを補給して先を急ぐ。
この伯母子峠から三浦口の集落まで、疲れを忘れさせるスリル満点のトレイルとなる。
今までの穏やかな感じとは一変して、道幅は狭く片側は崖となっているところが多くなる。
高度も1000メートルはあるので、斜面には雪がまだ残っていた。
でも、ルート上に雪は残っていないので、走行には支障はなかった。
写真で見るとコースが崩落して通行不能のように見えるが、
実際は、写真ほど危険ではなく、慎重に通過すればなんでもない。
ただ、走るのはちょっと勇気がいります(笑)。
苔むした上西家跡に到着。
こんなところに民家があったなど、とても信じられないがしっかり石垣は残っていた。
どこかホッとした雰囲気が漂い、昔の人もいい場所を選択したなと感心した。
下り基調の快適で緊張感のあるトレイルはさらに続く。
下りに飽きてきたころに、さらに下り続けると、ようやく眼下に川原が見えてくる。
三浦口の集落にたどり着いた。ここまで32.5キロ。
大福で腹ごしらえをして、初日、最後の登りである三浦峠に挑む。
時間的にも予定通り十津川温泉に到着できる目処がつき、余裕も出てきた。
とにかく急な九十九折の坂道をひたすら登る。
ただ、700メートルを登ると考えると大変そうだが、距離自体はそんなにないので、
意外と早く三浦峠にたどり着く。時刻は14時23分、ここまで37.0キロ。
伯母子峠からの下りで、太もも前面の筋肉の疲労が強いが、
太もも後ろの登りのための筋肉はまだまだ大丈夫そうである。
ここの下りは、ほんとに疲れました。
距離にすると7キロぐらい、緩やかな下りが続く。
膝が耐えてくれたから良かったが、膝痛でも発生していたら辛い下りになるところだった。
でも、コース自体は木立の中を抜ける快適なトレイルで、文句は言えません。
15時35分、西中のバス停に到着。ここまで44.4キロ。
ここから十津川温泉の民宿まで、9キロほどの舗装路の走りとなる。
いままで木立の中を走っていたので、あまり感じなかったが、春の日差しが暑いくらいだ。
歩きを交えながらちんたらと今日の宿を目指す。
渓谷沿いに山桜があちらこちらに咲いていて、とてもきれいだ。
5時前に民宿「えびす荘」に到着。
車でこちらに向っている家族も6時ごろ無事到着した。
途中、スリル満点の谷瀬のつり橋などを観光したようだ。
宿名物の源泉かけ流しの露天風呂につかり、「きじ鍋」などおいしいものを堪能する。
宿の女将さんが家族の前で、高野山を7時半に出発して、ここに5時前に到着するのはとても速いです、普通は途中で1泊するのですがと、しきりに感心される。
家族の前で妙に自尊心をくすぐられて悪い気はせず、ひとりニヤケテシマッタ。
2日目は、朝からのあいにくの雨で、残念だが熊野本宮大社への走りは中止とした。
アマゴの姿煮など充実の朝食を頂き、車で熊野本宮大社にお参りした。
雨で2日目を走れなかったのは残念だが、
1日だけでも素晴らしいトレイルを走れて申し分のない走り旅となった。
小辺路トレイルラン 53.5キロ、3月累計346.7キロ。
by toshihi616 | 2008-03-31 21:39 | Trackback | Comments(23)
す ご い !! ですね~~~
かねやんさんの走力も、それから撮られた写真の景色もとても素晴らしいです!!
ご家族とも合流されて大満足の一日でしたね!!
す ご い !! ですね~~~・・・その2
ほんまに良い道ですねえ。こりゃいつか行きたいものです。
しかい上手い事家族サービスしますねえ。参考にしなくちゃ・・・
あっ、ウチの場合一緒に走ったら良いんやけどね。
私もこのコ-スは前から走りたかったコ-スですが、何分、熊野古道、それも1人で走るのは勇気が要ります。そして、アクシデントが起きても公共機関が無し、自力で何とかしなければなりません。そのような状況の中で、よくぞチャレンジされました。尊敬します!。このパワ-も十津川温泉で待っておられる家族がおられるからですね。
それにしても風景が最高に綺麗ですね!!!。私も熊野古道を走ることを真剣に考えます。但し妻が高速道以外は怖くて運転が出来ないのが辛いです、、、。(苦笑い)萩往還240km完走への礎が出来てきましたね。
いよいよ萩モード全開ですね!
熊野はすごい山深く、僕なんかは全く立ち入れないようなイメージがあります。
でもしっかり標識もあり、なかなか楽しそうですね。
もっと鍛えていつか挑戦したいです。
もっと、険しくて荒れた感じなのかなぁと思っていましたが、さすが、観光地化されているといった感じですね。
わたしも行ってみたいです。
家族を巻き込んでしまうと言うのは名案ですね。
やっぱ熊野古道いいですね。また行きたくなりましたよ。
写真を見ていると「うんうん♪」と頷いてしまいました。(笑)
私は伯母子峠から三浦口へのトレイルが一番のお気に入りでした。あのスリルがたまりません。
小辺路のあたりは、ほんとに山が深いです。幾重にも山々が連なっています。最高の被写体がありました。本当に満足の1日でした。
小辺路は、いい山道でしたよ。確か亀オヤジさんも熊野古道を計画されていたのでは?私は、今度は同じ熊野古道でも、紀伊田辺から本宮までの中辺路を走ってみたいです。
熊野古道小辺路は、ほんとに山深いところにあり、ロケーションは申し分ないですよ。道標等も整備されていて、安心して走れました。雨の多い地域なので、走られるときはいい天気だといいですね。
京都の北の山々も深いですが、熊野は京都北山に輪をかけて山深い印象を受けました。ただ、小辺路についていえば、道標等が整備されていてコースアウトの心配はないと思います。京都や兵庫からちょっと遠いのが辛いところですね。
一部険しいところもありましたが、走りやすい道も多かったです。
伯母子峠から三浦口までの下りは、スリル満点で距離もたっぷりあり、トレイルランを満喫できますよ。ただ雨だとつらいので、チャレンジされるときはいい天気だといいですね。
伯母子峠からのトレイルは、スリル満点でした。下りのトレイルを満喫しました。次の三浦峠からの下りは太ももにきていて、しんどかったです。それと、えびす荘の源泉かけ流しの露天風呂と料理、気に入りました。女将さんもいい人でまた泊まってみたいです。いいところをブログで紹介して頂いてありがとうございました。
熊野古道小辺路トレイルランの記録読ませてもらいました。
僕達も中辺路の一部とか大雲取り越えとか伊勢路の一部を走ったりしていますが,
小辺路はかなり良い感じですね。
ぜひ今度行ってみたいものです。
ただとにかくお天気ですよね,熊野古道を走るときは。
雨が降らないことをホント祈るだけです。
小辺路、良かったですよ。距離が長いので、途中で出会ったのは2組だけでした。その分、騒々しくなくって自然を満喫できました。
あのコースで初日が雨だと、ほんとに苦しいと思います。でも、雨の多い所なので、ある程度の覚悟は必要なのかもしれませんね。
世界遺産などの指定があったり、数年の間にかなり変わったんですね。 中辺路も、毎年開けてしまって、興醒めしますよ。
トイレとか整備されるのはありがたいですが、あまりにも人工的になって・・・って言っても、もともと、道って人工ですもんね、しょうがないかな。
友人が、女性一人で大阪から本宮まで(那智大社までだったかな)通して走られたことありますよ。
中辺路はそんなに観光地化されているんですか。でも、ランニングで訪れる場合には、ぎりぎりの装備や食料しかもって行かないので、ある程度開けているほうが安心ですね。
お友達の那智大社までの走りは、すごいですね。紀伊半島の山間部を横断ですから。十津川の民宿で女将さんに、今度は大峯の奥駆ですねといわれました。吉野から山岳地帯を越えて熊野大社までのコースです。究極のトレイルコースで、残念ながら私の体力ではちょっと無理やと思いました。
マカニ・トモと申します。
熊野古道は一度走ってみたいのですが、東京からだとなかなか気軽にというわけには行かず、躊躇していました。
この秋にどこか1本くらい行きたいと思い、調べていたら、こちらのブログに行き当たりました。なかなか良さそうなトレイルですね。ますます、行きたくなりました。記事、参考にさせていただきます。
気候的にも涼しくなってきて、紅葉の小辺路もいいと思います。東京からだと高野山に一泊されて、翌日一気に熊野本宮大社に行かれたらどうでしょうか。天候さえ悪くなければ、マカニ・トモさんなら十分いけると思います。
ブログを拝見しましたが、ちょっと次元の違うとてつもないレースを完走されたんですね。北アルプスの北の端にある剣岳を手始めに日本の屋根を越えて太平洋まで。約8日間のレース、ほんとにお疲れ様でした。
小辺路につきましては、分かる範囲でお答えしますので、何なりとお尋ねください。
それと、リンクさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?
今後とも、よろしくお願いします。
もちろん、リンクOKです。
どうやら、11月2日に小辺路でレース(?)があるのですね。
それの参加も含めて考えて見たいと思います。
また、質問させていただくかもしれませんが、よろしくお願いいたします。